(高圧の電気料金)=(基本料金)+(電力量料金)+(燃料費等調整額)+(再生可能エネルギー発電促進賦課金)で計算されます。
そのうち、基本料金については大幅に安くなる可能性があります。
(電力量料金)、(燃料費等調整額)、(再生可能エネルギー発電促進賦課金)については削減しにくいので本稿では省きます。
(基本料金の計算方法) 電力会社が、顧客の電気使用量を計測します。0分から30分、30分から60分の30分間の使用電力量を計ります。1日に48回計測することになります。1か月の30分間計測電力量のうち、最大値がその月の最大需要電力(デマンド値と言います)になります。
例) その月の30分間計測電力量のうち、最大値が150kWhであった場合。その月の最大需要電力(デマンド値)は、150×2=300kW になります。1時間あたりの電力使用量として考えているのです。
その月と過去11か月間のデマンド値のうち、最大値が契約電力になります。契約電力が500kW以上の場合は、電力会社と顧客が協議の上契約電力を決めます。
(基本料金)=(料金単価)x(契約電力)x(185-力率)/100 です。私の場合は力率はほぼ100%ですので、ここは話を簡単にする為、次のように考えます。
(基本料金)=(料金単価)x(契約電力)x0.85
ここから、デマンド値(すなわち契約電力と基本料金)を下げる方法を述べます。デマンド値が上がるのは圧倒的に冬です。なぜなら、夏の外気温33℃の日に室温25℃に下げる時、温度差は8℃。冬の外気温5℃の日に室温22℃に上げる時、温度差は17℃です。単純に考えて、冬の方がエアコンの使用電力量が大きいのです。
つまり、冬にデマンド値を下げると契約電力が下がり、基本料金も下がるのです!
電力使用量を大きく占めるのは、圧倒的にエアコン。エアコンは使用開始から60分程度、最も電力を消費すると言われています。そこで、施設内のエアコンの運転開始時間を、少しずつずらすのです。60分ずらせば理想的ですが、20分でも違いがでます。
会社の部署ごとの始業を10分ずつずらすという手もあります。私は、真冬は業務開始を夏よりも20分遅れせています。
また、施設で業務を開始する1時間程度は石油ファンヒーターを最大限に稼働させて、エアコン稼働時の電力使用量を抑える方法もあります。トータルで考えるとエアコンの方が石油ファンヒーターよりエネルギー効率が高いので、石油ファンヒーターはエアコン稼働開始時に電力使用量を抑えることを主目的に使うと良いです。電気料金が下がっても、灯油代がかさんでは意味がありません。
電力会社によっては、顧客の使用電力量、30分間電力量をネット上で公開しています。デマンド値のピーク月もわかります。それを元にどの時間帯に30分間電力量が上がるのか把握して、この時間帯の電力量を下げるのです。また、30分間電力量が極端に下がる時間もあります。昼休みのある施設なら12:30-13:30等。この時間に、電力を食う作業を回すのです。介護施設なら、この時間帯に入浴用のお湯を作るとか。
デマンド監視装置を設置する手もありますが、10年前で60万円位しました。まずは、自施設の電力使用状況を把握した上で、電力ピーク時の30分間電力量を抑える事をお勧めします。
他には、冬の暖房にサーキュレーターを併用する(暖房効率が1割上がるとも言われています)、照明をLEDにする方法等もあります。

これらの作業で、どれくらい基本料金が下がるのでしょうか?
東京電力の業務用電力で考えます。料金単価はデマンド値1kWあたり1890円。上記の記事の内容を実施すれば、デマンド値は20kW位はすぐに下がります。(施設規模にもよりますが。)その場合、月の基本料金は、
(料金単価1890円)x(削減したデマンド値20kW)x0.85=32130円(税込)
毎月32130円削減できるのです。この削減効果が、1年続きます。1年間の削減効果は約38万円!施設によっては、デマンド値を100kW削減できる所もあると思います。その場合の削減効果は月16万円、年192万円です。
何故、これだけ容易に経費削減が望めるのか?それは、皆がこのシステムを知らないからに尽きます。知人の経営者で、この仕組みを知っている人に出くわした事がないのです。
如何でしょうか?ランニングコストを抑えると、経営に余裕が生まれます。時に今は冬。デマンド値を削減するにはもってこいの時期です。是非、お試し下さい。明日からでもできます。
